部活動の地域移行について
1 国・県の動き
中学校の部活動については、少子化が進む中、将来にわたり生徒がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保するため、速やかに部活動改革に取り組む必要があるとし、スポーツ庁及び文化庁においては、令和4年度に取りまとめられた部活動の地域移行に関する検討会議の提言を踏まえ、平成30年に策定した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」及び「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を統合した上で全面的に改定し、新たに「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を策定しました。
県においては、国の方針を受け、令和6年1月に「岩手県における学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方に関する方針」を策定しました。
<なぜ、部活動を地域移行するのか?>
〇部活動改革のこれまでの主な流れ
H29:文部科学省が公表したH28の「教員勤務実態調査」で教員の超過勤務の実態が示された。
R元:中央教育審議会が「将来的に部活動を学校単位から地域単位の取り組みにし学校以外が担
うことも積極的に進めるべき」と答申した。
R2 :文部科学省がR5年度以降、休日の部活動を段階的に地域移行する方針を表明した。
R3 :文部科学省が全国で地域移行のモデル事業を開始した。
R4 :スポーツ庁と文化庁がR5年度~R7年度を「改革推進期間」とし、「地域の実態に応じて
可能な限り早期の実現を目指す」とする指針を発表した。
R5 :主に公立中学校の休日の部活動を地域移行する改革が本格的にスタートした。
▶ 学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン【概要】
▶ 学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン【本文】
▶ 岩手県における学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する方針(概要版)
▶ 岩手県における学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する方針 (本文)
2 宮古市(チーム宮古)の方針
本市では、国、県の方針を踏まえたうえで、子どもたちが将来にわたり継続して、スポーツ・文化芸術に親しむ環境を整備するために、令和5年度から7年度まで国の委託を受け、休日の運動部活動の段階的な地域移行を目指して実証事業を行っています。
『部活動の地域移行の基本方針』
~支え・育てながら移行へ~
(支えるために連携し合うこと 支えるは連携すること)
理念:未来ある子どもたちのために手を取り合う
1.「チーム学校で部活動を支える 」
平日・休日の支援の具体を構築する
2.「チーム宮古で人間性豊かな中学生を育てる」
休日の多様な体験活動を企画し、実施する
3 実証事業(地域クラブ活動)の試行について
1. 学校部活動(常設部)の支援
6競技協会に支援依頼(休日に地域クラブとして活動)
剣道・柔道・野球・バレーボール・バスケットボール・卓球
2. 学校部活動(特設部)の支援
2競技協会に支援依頼(休日に地域クラブとして活動)
陸上競技・ラグビーフットボール
3.多様な体験活動の支援
シーカヤック
4 実証事業の取り組みの経過
(1)令和5年度
【アンケート実施】
対象:市内中学生、小学生(4年生~6年生)及び保護者、中学校教員、スポーツ関係団体等
【アンケート結果】
<中学生>
・学校部活動の所属状況
所属割合(80%),学校・地域で活動している割合(97%), 無所属(3%),運動系(73%)
文化系(27%), 学校・地域(15%), 地域のみ(10%)
※ほとんどの生徒が部活動に所属しており、充実した活動ができるような支援が必要
<小学生4・5・6年>
・中学校で部活動に加入希望65%(スポーツ系 53%、文化系 12%,決めていないが加入
希望15%, わからない、加入しない 15%)
※年々学校部活動、特にスポーツ系への加入希望が低下している。
<教員>
・平日の部活動にやりがいがある 50%
・休日の部活動が負担である 80%(経験のない部活動を指導することが負担等)
・休日の部活動に携わりたい 33%
※休日の部活動の負担感は強い傾向にある。
【地域移行への意見】
〇保護者(小学生・中学生)
※「移行」という言葉だけが広がり、現在各競技がどのような状況なのか?
進んでいるのか?いないのか?市 としてどのような見通しがあるのか分かりにくい 。
※休日は部活動をしなくてもよい 。 休日の活動はやめてほしい 。 家族の時間を大切に 、
家族で過ごしたい。
※いろいろな地域の方が関わることで, 部活や学校という閉塞感のある場所が開かれる 。
〇中学校教員
※教員の負担軽減の大きな対策の一つとして、休日の部活動の移行が進められているが、本
質的な部分で解決に至るか疑問。
※県においては部活動の加入率は高く、部活動を通して行ってきた生徒指導的な側面を軽視
してはいけない。
※現在の整備状況で地域移行しても本来の目的に至らず、違う課題が湧き上がる可能性があ
る。
※岩手県においては,国の動きと合わせて進めていくだけでは,その流れに巻き込まれる。
※生徒や家庭にしわ寄せがあってはならないと強く感じる。
〇競技団体・文化芸術団体
※地域移行を単に教員の負担軽減という働き方改革の視点にとらわれることなく、部活の特
性を生かした活動が生徒のためになるように学校・地域が協議して進めることが第一であ
る 。
※新しい取り組みをしなければ子供達の活動の場がどんどん減る。ぜひ行政の力添えを、前
向きに検討を。
(2)令和6年度
【本格的な実証事業の取り組み】
<実証事業(地域クラブ活動)の試行>
1 学校部活動(常設部)の支援
剣道・柔道・野球・バレーボール
2. 学校部活動(特設部)の支援
陸上競技・ラグビーフットボール
3.多様な体験活動の支援
シーカヤック
(3)令和7年度
令和6年度の実証事業(地域クラブ)の試行継続中
各競技協会による「Kadatte〇〇教室」を実施中
※「Kadatte野球教室」から地域クラブ誕生
宮古エンジョイベースボールクラブ(通称:宮古EBC)
<設立の経緯>
入学先の中学校に野球部がなく、野球を断念せざるを得ない生徒が継続して野球ができる
環境を作ってやりたいという父母の方々の思いが地域クラブ誕生となりました。
※「Kadatte剣道教室」から地域クラブ誕生
宮古剣道少年団
部活動の地域移行の実証事業に参加して、活動していた剣道協会主催の「Kadatte
剣道教室」から地域クラブ「宮古剣道少年団」として活動をスタートしました。
5 活動の様子
<令和5年度の活動の様子>
<令和6年度の活動の様子>
<令和7年度の活動の様子>
更新日:2025年06月11日