木の博物館/分館4号 アオモリトドマツの森

更新日:2024年12月23日

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概要

雪の上で緑が映えるアオモリトドマツと枯れて枝があらわになった木を正面から撮影した写真

アオモリトドマツ(オオシラビソ・AbiesMariesiiMast.)は常緑針葉樹の高木で、分布は本州中部、北部の亜高山帯とされています。岩手県では八幡平など奥羽山脈沿いや、早池峰山周辺にみられ、青松葉山(1,366メートル)の天然林は、北上高地の北限の自生地となっています。この山のかなりの部分は、県指定の「自然環境保全地域」になっています。これまで観察や登山の時期は、四月半ば以降、残雪がチシマザサを圧し、固雪状態の期間に限られていました。このような季節は、純白な雪原の中にそそり立つアオモリトドマツの姿は圧巻であり、樹氷現象に息をのみ、深い感動を与えます。

下部から山頂までの林況

低地渓畔にはトチ、サワグルミ林:オヒョウやカツラ、トチノキ、サワグルミの大木が観察され、特にカツラの巨大な株跡の周辺に立つ萌芽群から、根元回り直径が4メートルに及ぶものも見られます。
ブナ林:渓畔林を過ぎるとブナ林が現れ、ブナ、コシアブラ、ハウチワカエデ、ミネカエデ、オオカメノキ等で、一部にブナの大木林も出現します。
ダケカンバ林:ブナ群落の上部にはダケカンバーチシマザサ群落が見られ、ナナカマド、シナノキ、ハウチワカエデ、オオカメノキがわずかに存在します。
アオモリトドマツ林:山頂部の周辺のやや平坦な地形に本種の純林が出現し、各階層の優占種はアオモリトドマツで極相林の様相を呈しています。

アオモリトドマツ林の林況と立地条件

雪一面の中央にそびえる深い緑色のアオモリトドマツを正面から撮影した写真

山頂から南東方向にアオモリトドマツの分布が切れるところまで、斜距50メートル毎に4メートル幅で帯状に毎木調査した結果、アオモリトドマツ57%、ダケカンバ22%、(本数)で、主な構成樹種は両種となっています。積雪深とアオモリトドマツの分布を見ると、山頂付近の積雪深(2006年4月)は1.9メートル、頂上から南東100メートル付近で1.7メートル、250メートル付近で1.3メートルと次第に減少し、これに伴い生育本数は少なく、樹高も低くなり、やがてダケカンバ林に移っていきます。アオモリトドマツの生育地はやや平坦で、土壌は湿性ポドソル化し水はけが悪く、酸度も高いようです。

位置図

左:青松葉山山頂までの斜面距離の表 右:観察コース地図

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