木の博物館/分館10号 川岸ヤナギ林の群落
概要
川はこれまで流水の働きによって、川床を侵食し、土砂や砂礫を運搬、堆積を氾濫と安定が繰り返しています。川辺の堆積地には、地盤の安定度に応じて、ヤナギ類などの先駆植生を発達させます。
安定地(ヤナギ類ほか:数十年に一度の氾濫)
高木群落で構成され、シロヤナギを主とする大木が多く、サワグルミ、オニグルミ、アカマツなどを混交しています。シロヤナギの大きいものは胸高直径52センチメートル、樹高21メートルに達します。この群落はアイオン台風以後一度も洪水による破壊作用が及ばなかった場所と推定れます。
半安定地(主にヤナギ類:二十数年に一度の氾濫)
亜高木群落で、シロヤナギ、オニグルミ、アカマツなどにより構成され、胸高直径10センチメートル〜25センチメートル程度で、アイオン台風以後二〜三回の氾濫のあった場所と推定されます。
不安定地(ヤナギ類と草本類:数年に一回の氾濫)
低木群落で、水衝部に近くネコヤナギ、イヌコリヤナギ、ツルヨシ群落が優占しています。イヌコリヤナギは停滞水域で泥の溜まった区域、ツルヨシは水衝部で礫の多いところで優占しています。
水辺の植生の発達と動物とのつながり
ネコヤナギの生え際には、カワトンボ、サナエトンボの幼虫が、また、泥の多いところにはオニヤンマの幼虫などが見られます。シロヤナギの木陰には魚が集まり、流水の石のかげにはカゲロウ、トビケラの仲間がすみ、これらの水生昆虫を餌にして、イワナ、ハヤなどの魚が集まっています。そして、それを狙って鳥たちも集まります。このように、川岸のヤナギ林などは、水生昆虫、魚、鳥類の餌場やすみかとなっています。


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更新日:2024年12月23日