市では、高度経済成長期に多様化するニーズへの対応を背景に、多くの公共施設(建物)を集中的に整備し、さまざまな行政サービスに活用してきました。しかし現在では、これらの施設が老朽化し、一斉に更新時期を迎えようとしています。少子高齢化や人口減少が進むなかで、利用者のニーズも変化しています。
限られた財源で老朽化した施設の更新をどのように進めるか、公共施設の今後のあり方について検討を進めます。
宮古市公共施設再配置計画
公共施設の適正な配置を図るため「宮古市公共施設再配置計画」を策定しました。
これは、今後の公共施設のあり方について検討し、今後の財政状況や市民ニーズに合った効率的かつ質の高い公共施設の提供に向けて、公共施設白書で整理した実態と課題を踏まえて、真に必要な施設を選定し、複合化や集約化を図りながら今後の市域全体の公共施設の再配置を効率的に進めていくためのものです。
この計画は、以下の4つの過程で構成されています。
① 基本方針
「宮古市総合計画」に掲げる『「森、川、海」とひとが共生する安らぎのまち」』の実現に向けて、市域全体の公共施設を対象に、適切な維持管理、利用促進、役目を終えた施設や老朽化が進行した施設の整理・統合などについての方針を示したものです。
※基本方針 (3,032kbyte)
②公共施設白書
基本方針に基づき、保有する建物の状況や利用状況、運営状況、維持管理費等のコスト状況などの実態を調査するとともに、将来施設を更新する際のコストなどの面から課題を整理したものです。
※公共施設白書 (5,683kbyte)
③ 基本計画
基本計画では、公共施設の将来更新費用の削減目標と施設用途別の再配置の方向性を定めるとともに、公共施設白書のデータに基づく定量的な評価を行い、各施設の今後の検討の方向性として「継続活用施設」と「見直し対象施設」に分類しています。
※基本計画(本編) (2,995kbyte)
基本計画(資料編) (5,762kbyte)
④ 実施計画
建替えや統廃合、複合化などの具体的な展開は、基本計画で定めた各施設の今後の検討の方向性や、施設用途別の再配置の方向性を踏まえつつ、地域特性や施設特性、市の施策との関係などを考慮しながら、検討・決定を進めます。
※実施計画 (2,402kbyte)
以下、主な内容を紹介します。公共施設の現状
庁舎、スポーツ施設・文化施設、福祉施設や集会施設など平成26年1月現在で499施設、総床面積約39万平方メートルの公共施設を管理・運営しています。
市民一人あたりの床面積は6.9平方メートルであり、全国自治体平均の約2倍にあたる施設量を保有しています。
←クリックで拡大公共施設が抱える課題
①施設の老朽化
築30年以上を経過した施設が48.9%を占めています。
今後、大規模な改修や老朽化に伴う建て替えへの対応が必要となります。
↓クリックで拡大 完成から50年以上経過した市役所分庁舎
②公共施設利用者の減少と余剰施設の増加
本市の人口は昭和35年の8万1千人をピークに人口減少が続き、平成42年には4万3千人まで減少すると予測されています。
人口減少に伴い、施設の利用者も減少するため、十分に利用されない施設が増加すると見込まれます。
③公共施設の地域の偏り
施設総量の58.4%が宮古地区、田老地区が13.1%、新里地区が13.2%、川井地区が15.2%の割合で設置されています。また二度の市町村合併を経て旧市町村で整備した類似施設の重複も見られます。
市民1人当たりでみる、宮古地区の4.8平方メートルに対して、田老・新里地区はその約3倍、川井地区は約4倍の量を保有しています。
広大な市域の中において、人口が集中する宮古地区と、可住地が分散する他地区とを一律に比較することはできませんが、限りある財源を効率的に使っていくため、地区ごとの公共施設のあり方についても検討していく必要があります。
④公共施設に対するニーズの変化
少子高齢化によって、子供が通う学校施設では空き教室が生じる一方で、高齢者向けの施設は不足する傾向にあります。人口構成の変化に伴い、公共施設に求められる内容も変化しています。
⑤耐震化による安全性の向上
昭和56年以前の旧耐震化基準の建物が約4割を占めています。
市では宮古市耐震改修促進計画に基づき耐震化を進めていますが、公共施設は不特定多数が利用し、災害時には避難所として重要な役割を果たす施設が多く、耐震化を行い安全性を確保していくことが必要です。
←クリックで拡大⑥老朽化による維持管理コストの増加
修繕費や光熱水費、人件費などの維持管理費として、平成24年度には約13億円を支出しています。今後、施設の老朽化が進むにつれ、維持管理費も増加することが見込まれます。
対象施設
基本計画では、平成27年1月現在の市が保有または計画している543施設(総床面積:約46万㎡)を対象としています。そのうち、庁舎や公民館等の公共建築物と普通財産の中の建築物(いわゆるハコモノ)を対象とし、道路や橋りょうなど都市基盤施設(インフラ)を除きます。
さらに、このうち、実施計画では、公共施設白書作成後に新たに整備した施設(計画含む)28施設と、被災公共施設再配置方針に基づき、大規模な改修や建替えにより復旧した施設および廃止した施設(予定含む)37施設を除いた478施設を評価対象としています。
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将来コストと財政負担可能額見込み
全ての公共施設を今後も保有し続ける場合、公共施設の更新(大規模改修・建替え)に必要となる将来コストは約1,834.3億円/40年であり、年平均で45.9億円と推計されます。公共施設の更新に係る投資可能額は、平成31年度で約16.2億円と見込まれており、約29.7億円/年(約65%)が不足することになります。
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将来更新費用の削減目標
今後の財政負担可能額見込みを踏まえて、公共施設の将来更新費用の削減目標を次のとおり定めます。
※公共施設の統合や廃止を実施した場合、当該施設の維持管理費も削減されるため、その維持管理費を将来更新費用の財源として充当することで、削減が必要な将来更新費用の割合は49%(約22.5億円)になります。
削減目標 今後40年間の公共施設の更新費用削減目標を 49%(約22.5億円)削減する
※公共施設の統合や廃止を実施した場合、当該施設の維持管理費も削減されるため、その維持管理費を将来更新費用の財源として充当することで、削減が必要な将来更新費用の割合は、49%(約22.5億円)になります。 |
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計画スケジュール
平成28年度から計画の推進を図ります。また、今後の社会情勢や財政状況の変化、実施計画の進捗状況を鑑み、適宜見直しを加えていきます。
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